生産の現場から
vol.40 餌料培養グループ(お仕事紹介)
2026.07.01
前回のブログでは、卵を受け継ぎ、魚たちを育てていく「初期飼育グループ」の仕事をご紹介しました。その記事でも触れたように、ふ化した魚は生後2~3日ほどで口が開き、餌を食べ始めます。しかし、この時期はまだ配合飼料を食べることができません。そのため、最初に与えるのは「動物性プランクトン」です。実は、このプランクトンも水産養殖種苗センターで培養しています。今回は、そのプランクン培養を担当する「餌料培養グループ」をご紹介します。培養しているのは「シオミズツボワムシ」という動物プランクトン。現場では「ワムシ」と呼んでいます。
こちらがワムシを培養する水槽です。

そして、こちらがワムシの姿です。

顕微鏡で撮影しているため大きく見えますが、実際の大きさはわずか0.1~0.2mmほど。とても小さなプランクトンです。
出勤すると、まず最初に行うのがワムシの状態確認です。

ワムシは日々増殖するプランクトンですが、調子を崩すと、つまり増殖サイクルに問題があると増殖スピードが落ちたり止まってしまったりします。
手遅れになると回復に時間を要することになり、仔魚への給餌にも影響をおよぼしてしまいます。
ワムシの健康状態や水質など、どこかに不調となる原因や予兆があるので、目視や顕微鏡で日々観察し、小さな変化や異常の兆候を見逃さないようにしています。
観察が終わると、ワムシに餌を与えます。ワムシの餌は植物プランクトンのクロレラです。
続いて行うのが、ワムシを数える作業です。

顕微鏡に映し出して数を数えていきます。
生産のピーク時にはある事業場向けに100億個体、別の事業場向けに100億個体といった膨大な数のワムシが必要になります。
初期飼育グループからの要求量に合わせて安定して供給できるよう、事業場をまたいで餌料培養グループ内で連携し万全の態勢で培養を続けています。
計数が終わると、仔魚に与えるためのワムシを、プランクトンネットを使って水槽から取り出します。
写真は取り出したワムシを水できれいに洗っているところです。

ワムシは増殖を繰り返すうちに培養環境が少しずつ汚れてきます。ワムシを取り出す作業と合わせて部分的にリセットし、より良い状態を保つためのメンテナンスも行っています。
そして、もう一つ、重要な作業があります。
それが「ワムシの栄養強化」です。
仔魚はワムシを食べますが、そのままでは魚の成長に欠かせないDHAやEPAといった栄養が摂取できません。そこで、あらかじめワムシにこれらの栄養を取り込ませてから仔魚に与えています。
人間でいうと、薬の成分を包んで届けるカプセルのような役割をワムシが担っている、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
ワムシ培養は、海水魚の初期飼育を支える根幹となる技術です。
培養技術はもちろん、栄養強化の方法まで、長年積み重ねてきたノウハウを受け継ぎながら、毎日丁寧に作業を行っています。
ワムシが不足すると、大切な仔魚を育てることができません。そのため、餌料培養グループは大きな責任を担っています。
各拠点の餌料培養グループが連携し、安定した供給体制を維持することで、今日も魚たちの健やかな成長を支えています。
次回は中間飼育(陸上)グループのお仕事紹介です。