生産の現場から
vol18.中間飼育(陸上)担当者の業務
2023.07.04
親魚担当者によって採卵された卵は初期飼育担当者に引き継がれ、一定の大きさに育つと中間飼育担当者に引き継がれます。
今回は陸上での中間飼育を紹介します。
近畿大学では、魚の性質や環境との兼ね合いによって陸上と海上での中間飼育を使い分けており、陸上では主にブリ、ブリヒラ、ヒラマサ、トラフグの中間飼育を行います。
中間飼育はお客さん(養殖業者)の元に種苗(稚魚)が届くための最後の飼育工程となるため、形がきれいで大きさが揃い、なおかつ健康で十分な大きさに育った種苗を作ることが一番の仕事となります。
魚種によりますが、ブリ類の場合は40~50日齢で初期飼育担当者から引き継ぎ、65日齢ごろに出荷するまで飼育管理を行います。
他の担当にも共通していますが、ここでも出勤して最初にする仕事は魚や施設の観察です。
特に病気にかかると大変なので、魚が弱っていないか、不自然な動きをしていないか慎重に観察します。
水や施設の状態によっても調子を崩したり大きく損耗したりする要因になるので、その点も確認項目です。
飼育の一番のポイントは、魚の大小差を作らないことです。
給餌の仕方や飼育密度などを的確に管理し続けることで、成長差を最小限にとどめることができます。
そのため、担当者には経験値や日々の正確な記録、観察力が求められます。
また、状態を確認したうえで報告・連絡・相談といったコミュニケーションも不可欠です。
約55日齢のブリヒラ種苗の給餌の様子です。
大きさの差異を小さくするために給餌は最も大切なポイントとなります。
餌がすべての魚にいきわたっているかしっかり確認します。
給餌後の最も水質が落ちるタイミングで水質測定を行い、水の状態を確認します。
水質の悪化を防ぐため、水槽の底面掃除も日々行います。
十分なサイズに成長した種苗は、選別によってサイズをそろえ形態異常がないか1尾ずつしっかり検品された後、養殖業者の元に出荷されていきます。