生産の現場から
vol.42 海上中間グループ(お仕事紹介)
2026.09.01
初期飼育グループのもとでスクスク育った稚魚は、次なるステップである「中間飼育グループ」へ引き継がれ、出荷できる大きさになるまで育てられます。
近畿大学では、稚魚の生態に合わせて「陸上」と「海上」の2つの環境で中間飼育を行っています。前回ご紹介した陸上での中間飼育に続き、今回は「海上での中間飼育」のお仕事をご紹介します!
海上では、主にマダイ・シマアジ・カンパチ・クロマグロの中間飼育を行っています。
海上中間飼育は、養殖事業者(お客様)へ稚魚をお届けする前の最終飼育工程です。そのため、以下のような健康で高品質な稚魚に育て上げることが重要な役割となります。
- 形がきれいであること
- サイズが均一にそろっていること
- 病気がなく健康であること
一番生産量が多い主力魚種「マダイ」を例に見てみましょう。
- 初期飼育(陸上施設):約45日間かけ、3cm程度まで育成
- 中間飼育(海上イケス):約60日で8〜10cmほどの出荷サイズになるまで育成
このように、役割を分担して丁寧に育てています。
稚魚を海上のイケスに移す作業を「沖出し(おきだし)」と呼びます。春や秋の生産ピーク時には、毎日のようにこの作業が行われます。

沖出し直後の稚魚には、1日に最大4回の給餌(餌やり)を行っています。 ただ餌をまくだけではなく、風向きや潮の流れを考慮しなければ稚魚までしっかり餌が届きません。常に稚魚の様子を観察しながら慎重に作業を進めます。

海上のイケスで育てるため、常に自然環境の影響を受けます。
- 台風や嵐などの悪天候
- 夏の高水温や冬の低水温
- 感染症などの病気のリスク
長年蓄積したノウハウをもとに徹底した管理を行っていても、自然相手では予期せぬトラブルが起こることもあります。だからこそ飼育担当者に求められるのが、異変にすぐ気づける「魚を見る目」です。
日々、魚の状態をじっくり慎重に観察し、変化があれば即座に対応しています。

こうして海上イケスで8〜10cmほどに成長するといよいよ出荷の時期を迎えます。最後の大切な工程が「出荷選別」です。
フィッシュポンプで海水ごとベルトコンベヤーにくみ上げた稚魚を、複数の職員の目で1尾ずつ大きさや形、健康状態などのチェックを行い、合格したものだけをフィッシュカウンターで計数しながら出荷用生簀に流し込みます。


一度に大量の魚をベルトコンベヤーに送り込むと魚をしっかり選別するのが困難になるのはもちろん、魚にも負荷がかかることになるため、ポンプでくみ上げる作業も十分な経験と細心の注意が必要です。
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非常に集中力と経験が必要とされるこの作業ですが、近畿大学では現在、AIやIoT技術を活用した自動化の研究・実用化も段階的に進めています。
選別と計数を終えた元気な稚魚たちは、活魚船や活魚車に積み込まれ、全国各地の養殖業者さんのもとへと旅立っていきます。写真は活魚船への積み込みの様子です。

次回は、稚魚をお届けするお客様との大切な接点となる「種苗営業グループ」のお仕事をご紹介します。どうぞお楽しみに!
